そもそもビジネスモデル特許とは、ある分野の特許権に対する通称でして、特許権とは、特許法という法律に基づいて発生する権利ですので、ビジネスモデル特許も特許法が根拠となります。
さて、特許法は、「発明」を保護する法律であるわけですが、特許法では、「発明」を、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう」と定義しています。従って、ビジネスモデルが特許法で保護されるためには、このビジネスモデルが特許法で定める「発明」である必要があります。ここまでは良いですね。
そして、ビジネスモデルが特許法で定める「発明」であるか否かを考えるとき、特許法が定める発明定義の「自然法則を利用した」という箇所がポイントになってきます。
じゃあ、どうでしょう、ビジネスモデルって、「自然法則を利用し」てますかね?いやいや、ビジネスモデルって、人間が勝手に決めた経済の仕組みでしょ、自然法則を利用していないじゃないですか。
そうしたら、ストレートに考えると、ビジネスモデルは特許法が定める「発明」に該当しない、故に、ビジネスモデルは特許法では保護されない、特許権とは成りえない、ということになりますね。
そうなんです、ビジネスモデルは、「原則的には」、特許にはならないんです。でも、世の中に、ビジネスモデル特許って沢山ありますよね。それはどういうことなんでしょうか。そう、だから「原則的には」なんですね。世の中には例外が有るんですね、「例外」が。
ここで、ちょっとコンピュータのことを考えてみてください。コンピュータって、技術の固まりであって、当然に「自然法則を利用し」ていますよね。そう、そこに「例外扱い」のポイントが有るんです。
あるビジネスモデルを実現するためのソフトウェアを実行するコンピュータが、当該ビジネスモデルの意図している機能を実現するための専用装置とみなせる場合、当該専用装置(=コンピュータ)は「自然法則を利用し」ているので、 当該ビジネスモデルも特許法上の発明に該当するものとして取扱おう、と特許庁が決めちゃったんです。
そう、こうすることによって、一部のビジネスモデルは、特許法上の発明に該当することとなり、無事、ビジネスモデル特許として保護されることになりました、ということなんですね。
上記の経緯から、ビジネスモデル特許となるためには、ビジネスモデルが最低限、コンピュータを利用していなくてはならない、という結論になりますね。
そして、ビジネスモデルがコンピュータを利用していることを明確にするため、特許庁の審査では、ビジネスモデルを実現するための「ソフトウエアによる情報処理がハードウエア資源を用いて具体的に実現されている」ことが要求されます。
何か、分かったような分からないような説明になっていますが、そういうことなんですね。ですから、コンピュータの「コ」の字も使わないビジネスモデルは、特許権としては保護されませんので、ご注意ください。コンピュータを利用するビジネスモデルであれば、一度、ご相談ください。